2023年5月16日(火)~18日(木)、上高地の小梨平キャンプ場にテントを張って上高地を散策し、ついでに焼岳にも登ってきました。
5月に上高地でウォーキングくらいできたらいいなとは前々から思っていたのでした。なのでそのタイミングを伺っていたのですが、Twitterで次のようなツイートを目にしました。
冬の間、梯子が外され通行止めになっていた焼岳への上高地側登山道ですが、5月3日(予定)に梯子が設置されるとの連絡が来ました。普通は6月初旬ですので異例な事で、それだけ雪が少ないということです。残雪がありますし、不安定ですので十分な注意が必要です! pic.twitter.com/gdZbWZEMKD
— 上高地西糸屋山荘 (@nishi2206) April 25, 2023
その後YAMAPやヤマレコで焼岳の登山記録を見てみると上高地との間のルートを通っている人たちがいました。雪はもうほとんど残っておらず、山頂直下の雪も下側を巻いて通過できるとのこと。
焼岳は上高地に行けば毎回必ず目に入ってくる山。山頂からは近くにある他の山々も見えるでしょうし、そのうち行ってみたいとは思っていました。ただ、メジャーな中ノ湯からのルートはバスでのアクセスがイマイチ。一方上高地からのルートはコースタイム往復8時間以上と少々長め。どちらか迷うところですが、上高地にテントを置いて早朝から出発すれば行けるかなぁ? とは考えていたのでした。
しかたない、本当は上高地でのんびり過ごしたかったのですが行ってみることにしました。
アクセス
上高地までの行き方については別の記事にしたのでそちらを参照してください。
天候
最近週末天気が悪いことが多い気がします。この週も中頃の天気が良さそうでした。

山行経路
1日目(小梨平キャンプ場~大正池往復)
※記録は上高地食堂(バスターミナル)から開始。
2日目(小梨平キャンプ場~焼岳北峰往復)
注意:焼岳への登山道は火山活動、積雪、ハシゴの設置状況、登山道の崩落、山頂近くの落石等様々な危険要素があります。山行の際は、現地の最新状況を必ずご確認ください。
旅の様子
1日目 移動と上高地散策
立川→上高地
2023年5月16日(火) 早朝、重いテント泊用のザックを背負って立川駅にやってきました。
今回は始発列車を使って最早10:30上高地着を狙います。
04:40 立川駅発(高尾行き)。

04:58 高尾駅着。高尾始発大月行きへ乗り換え。

05:15 高尾駅発。
車内でサンドイッチを食べて朝食とします。

山に靄がかかって綺麗です。

05:51 大月駅着。4番線到着で3番線へ。大月始発甲府行きへ乗り換え。
05:54 大月駅発。
勝沼付近からの景色も綺麗。

富士山の頭が見えます。

06:43 甲府駅着。1番線到着で3番線へ。甲府始発松本行きへ乗り換え。
朝の時間帯はこのように次から次へスムーズに乗り継ぐことが出来ます。昼間だと特急に追い抜かれるせいかこうはいきません。
06:46 甲府駅発。
南アルプスや八ヶ岳、そして次第に北アルプスも見えてきます。

元々2分ほど遅れていましたが、南松本駅でしばらく停車。大糸線が遅れていて松本駅のホームが全て埋まっているとのアナウンスがありました。それでも数分で発車しすぐに松本に到着。
08:37 松本駅着(6分遅延)。元々の乗り換え時間は12分なのでまだ6分あります。券売機が混まなければ大丈夫でしょう。

急いでSuicaで改札を出て、券売機で上高地までの切符を購入(2710円)。
再び改札の中に入って7番線へ。アルピコ交通上高地線 新島々行きに乗車。今日はなぎさトレイン。

08:43 松本駅発。
車内は大学生が多数乗っていましたが、北新・松本大学前駅を過ぎると少数の登山者・観光客だけが残りました。
09:14 新島々駅着。

すぐ目の前に停車していた上高地行きのバスに乗り込みます。ザックはトランクの中へ。
スマホを充電。今回は10000mhAのモバイルバッテリー(Anker PowerCore PD 10000 Redux等)を3本用意していますが、念のためここで充電しておきます。上高地までに100%になりました。
09:25 新島々駅発。

10:29 上高地バスターミナル着。

立川から5時間50分、約6時間かかりました。こうして計算するとかなりの時間ですが、スマホがあればやることはいくらでも作れますし寝ることもできるので退屈はしませんでした。
上高地→小梨平キャンプ場
小梨平キャンプ場
相変わらず綺麗なキャンプ場です。

10:45 管理棟着。

受付で誓約書・申込書を記入して2泊分の幕営料2600円を支払いました。
小梨平キャンプ場には5年前(2018年)にも泊まりましたが、色々と変わっているところがありました。
- 幕営料 1泊800円→1300円
- 繁忙期は要予約
- フードストレージ新設、バーベキュー禁止等クマ対策の強化
- テントのチェックアウト時間の明確化(13:00までで以降はデイキャンプ扱い)
- その他規約の明確化
やはりここ数年のウィルス騒ぎと2020年のクマ事件の影響が大きいのでしょう。
さて、どこに張りましょうか。

1番人気はやはり川沿いK、L区画ですが、このタイミングでは良いところは全て埋まっていました(夜には良い所が空いていました)。混雑していないためか、皆さん微妙に空間を広めに使っているので中途半端な空きが多いです。後は穂高が見えづらい所は空きがち。
無理にK、Lに押し込むよりも1段下がってI区画、テーブル近くが空いていたのでそこに張ることにしました。


11:16頃設営完了。
テントの中からちゃんと穂高が見えます。

小川(中川)も近いし穂高も見えてテーブルベンチもありトイレや炊飯棟も近いので結構良い場所ですね。

すぐ隣には営業期間中ほぼ常に滞在しているという常連の方もいらっしゃいました。
まだ散らかっていないテントの中身。

マットはモンベルの「U.L.コンフォートシステム アルパインパッド25 90」を使用しています。一時期ニーモの軽量なエアマットも試してみたのですが、やはり寝心地になじめず今のところこれに落ち着いています。セルフインフレータブルはフォームが入っているのでどうしても重くなりがちですが、90cmにすることで解決。どうせ枕を付けますし、足下は必要ならザックを置けば十分です。この手の空気を入れるマットは切って小さくすることは(容易には)できませんが足して大きくすることはできます。迷ったら小さめを買うと良いと思います。枕も同じシリーズのもの(U.L.コンフォートシステムピロー)なのでピッタリ連結できてズレません。ポンプバッグも共通です。
寝袋は「モンベル ダウンハガー800#2」。コンフォート0度、リミット-6度。夏はオーバースペックで掛け布団状態ですが、春秋で0度前後くらいになるならこれがピッタリです。
キャンプ場の注意書き。


すぐ南側にあるトイレ。

炊飯棟。


2020年のクマ事件以降に新設されたフードストレージ(食料庫)。トイレの隣(2箇所?)にあります。可能な限りテント内に食料を置かないようにとのこと。


体毛を元素分析していつ人間の食料を食べたかまで調べ上げていたんですね。NPO法人 信州ツキノワグマ研究会なる組織まであるようです。

コンテナの開け方は最初は戸惑いますがすぐに慣れます。人間は熊より賢い。



受付の掲示物。
ランチ・喫茶案内図(2022)。

右にWi-Fiの案内がありますが受付や食堂の近くでのみ入ります。テント場からは何も(Matsumoto City Free Wi-Fiも含め)入りませんでした。ドコモ系のモバイルネットワークは入りました。
上高地外来入浴案内図(2022)。

利用規則。

2020年のクマ事件の解説図。

上高地は今ニリンソウが花盛り。小梨平キャンプ場の中にも沢山咲いていました。

もちろん他にも沢山の花が咲いていました。上高地は標高1500mということなので、やはり高尾山などと比べると咲く時期が遅いですね。
上高地~大正池往復
河童橋
上高地食堂
田代湿原へ
さて、当初の目的通り上高地を散策しましょう。久しぶりに大正池~河童橋間を見て回りたいと思います。バスを大正池で降りて小梨平まで歩こうかとも思ったのですが、キャンプ場は場所取り競争的な側面もあるので一応先にテントを張ってしまうことにしたのでした。それに梓川の右岸、左岸の両方を歩くのも悪くないでしょう。
ひとまず梓川沿いに出て、遊歩道を下流に向かって進むとしましょう。


シラカバは葉が芽吹き始めたばかりのようです。

コバルトブルーの水色が本当に綺麗ですね。



シラカバとダケカンバが並んでいるところ。

シラカバはペンキを塗ったような感じでダケカンバは薄皮がペリペリ剥がれそうな感じ。葉はシラカバの方が先に芽吹くのだそうです。
紫のスミレっぽい何か。(オオ?)タチツボスミレ?

距が白いからオオタチツボスミレなのかな。




中ノ瀬園地公衆トイレ。


13:02 田代橋の近くを通過。なおも南下します。




13:04 分岐。左は林間コース、右は梓川(川沿い)コース。左へ。


(コ?)ミヤマカタバミ? カタバミはハートの葉っぱが可愛らしいですよね。

シロバナエンレイソウ?



根っこが浮き上がって倒れている木。


田代湿原
右岸を歩いてウェストン碑へ
14:09 林間コースと梓川コースの分岐。行きは林間コースで来たので帰りは梓川コースを歩きましょう。左へ。



14:13 河原に出られる分岐。真っ直ぐ。



梓川に浮かんだマガモがかなりのスピードで目の前を通り過ぎていきます。ボートを浮かべたら結構怖そう。


ネコノメソウ。


14:20 分岐合流。



この大きな岩の上流側が激しく水しぶきが上がっていて水の青さと相まって綺麗だったんですよね。手前の樹木が多くてうまく撮れませんでした。


14:22 田代橋着。



続いて穂高橋。



右折して霞沢橋。

右岸を遡上していきます。

14:26 上高地温泉ホテルと上高地ルミエスタホテルの近くを通過。ベンチがあります。売店もあるので休憩には良い場所でしょう。

ちなみに上高地側から焼岳に登るならこの二つの宿が一番登山口に近くなるようです。まぁ焼岳に登ろうなんて人ならこの辺りの宿ならどれも誤差の範囲内かもしれません。焼岳から近い宿が良いなら上高地側では無く中ノ湯側の中の湯温泉旅館に泊まるのが一番ではないかと思います。
対岸に見えるのは六百山と霞沢岳です。


14:29 ウェストン碑。

右岸を歩いて河童橋へ
小梨平キャンプ場のニリンソウとエゾムラサキ
小梨平キャンプ場まで帰ってくるとテントまでの道すがらで沢山のニリンソウを目にしました。





こちらはエゾムラサキだと思います。

ものすごく鮮やか。

去年北岳で見たのはミヤマムラサキだったでしょうか。高尾山でもよく見かけるヤマルリソウとも似ていますね。
ニリンソウの近くで一緒に咲いていました。



小梨平キャンプ場泊

というわけで15:00、テントまで戻ってきました。後はのんびり過ごすだけです。

今日のおやつはパスコの白桃ヨーグルトのタルト。

最近出た同社のタルトシリーズの新商品です。ちゃんと桃らしさを感じられて美味しいですよ。これで136円というのですから驚きです。店舗限定で1つ1000円のお菓子も良いですが、これだけの安さで沢山の人々を喜ばせるお菓子を作るというのも立派な仕事だと思います。
近くの川沿いにもエゾムラサキが咲いていました。

スミレ?

キジムシロ? この手の黄色い花は似たようなものが沢山あってどうにも見分けるのが苦手です。



今回はノートPCを持ってきています。

こんな素晴らしいところで作業できるなんて最高です。しばらく滞在して作りたいものを作っていたいです。
ただ、さすがにテントに置きっぱなしには出来ないので常に持ち運ぶ必要があります。先ほどの散策の時はもちろんこの後の焼岳でもザックに入れて持ち運びました。ケースも含めると1kgちょっと。どうって事無いだろうと思ったのですが、さすがに焼岳の時は影響があったかもしれません。荷物をどこかに預けられれば良かったのですが、朝5時に預けられる所は見当たりませんでした。


17:33 夕食。
棒状のものはチーかまです。わかめご飯は調味粉末を使うのでちゃんと味がします。
何年か前に尾西食品のアルファ米セットをAmazonで購入したのですが、その賞味期限が2023年12月。年末までに食べきらなければなりません。ということで今回は二食分持ってきました。
熱湯を入れてから「かき混ぜる」という工程さえ忘れなければ悪くない食べ物だと思いますよ。
これを食べきったらモンベルのリゾッタなんかも試してみたいですね。


暗くなる前にキャンプ場の人が見回りに来て許可証の確認をしていきました。


散らかったテントの中。
さて、明日は5時に河童橋を出る予定なので、4時くらいには起きなければなりません。9時過ぎくらいに寝ました。
2日目 焼岳登山
小梨平キャンプ場
小梨平キャンプ場→焼岳上高地側登山口


目指すはあそこです。

水くみ。


今回はサブザックとしてモンベルのバーサライトパック20を用意しました。

これまで使っていた12Lのサブザックが小さいので去年の頭に購入しました。しかし針ノ木岳や北岳では12Lのを使ったので実際に使うのは今回が初めてです。山頂のすぐ下にテント場があって山頂との間を往復するくらいなら12Lでも十分ですが、今回のように普通の登山レベルになってしまうと20Lくらいは欲しくなります。前述の通りノートPCなんかも入っています。テント泊用のザックと比べてしまうせいか「重い」とは感じませんでしたし、肩に食い込んで痛いというようなこともありませんでした。
04:53 河童橋発。

最初は川沿いの道を進みます。


相変わらず水は綺麗です。

次の分岐では川から離れた道を進みました。そっちの方が距離が短いので。


ウェストン園地の公衆トイレ。

05:06 ウェストン碑の前を通過。

もう日の出の時刻は過ぎていますが太陽は見えません。

山の上は少し赤くなっています。


田代橋、穂高橋、霞沢橋が見えます。

05:11 霞沢橋を通過。トイレに行きたいなら左の穂高橋、田代橋を渡った中ノ瀬園地のところにあります。最後のトイレです。右へ。

すぐに左へ。

05:12 西穂高岳登山口の前を通過。

ここから西穂山荘まではコースタイムで4時間程度(標高差約870m)。西穂山荘でテント泊するなら手頃なコースタイムのような気もします。雪の状況は知りませんが。それと現在新穂高ロープウェイが休業中らしいです。
まぁ、今回はそちらではありません。梓川沿いに南下します。

焼岳登山口まで800mの表示。火山に関する警告もあります。

05:14 上高地浄化センターの前を通過。

05:15 何やらゲートがあります。資材運搬路になっていて通行には許可が必要な道路とのこと。降雨時に土石流や陥没が発生する可能性があるようです。



05:20 左手に立ち枯れの木が多数立ち並ぶ湿地が現れました。


白い靄がかかっています。

何とも不思議な景色。





05:22 焼岳上高地側登山口着。河童橋から30分くらいでした。
焼岳上高地側登山口
登山口周辺には看板以外何もありません。


焼岳へ登山される方へ!
焼岳は火山活動が活発なこと、また火山特有の崩れやすい土質であることから常に爆発と土石流の危険があり、また浮石、落石の多い山です。次のことに十分注意してください。
- 火山活動の活発なときや悪天候の時に登山を止めてください。
- 山頂付近は「危険地域」に指定されています。危険地域での単独登山は自粛してください。
- 浮石、落石には、十分注意してください。


他の場所でもよく見かけるのですが、どうしてこう看板が読めなくなるように貼り付けるんでしょうね。Googleで過去の写真を見てみると「焼岳上高地側登山口」と書かれているようです。「側」が入っています。


05:23 焼岳上高地側登山口発。

焼岳上高地側登山口→急勾配の始まり
登山道に入ると左右に沢山のニリンソウが咲いていました。

ただ、まだ朝早いせいかほとんどの花は閉じていました。

ネコノメソウも見かけます。

05:27 沢にかかった橋を通過。

オオバキスミレ。

最初の内は歩きやすいほとんど平坦(わずかな上り)な道が続きます。

シロバナエンレイソウ。






全体的にかなり分かりやすい登山道ですが道迷いの可能性は0ではないとは思います。

05:37 倒木? と思ったら左へ90度曲がるところ。まっすぐ行かないようにわざと置いてある?

05:37 文字が良く読めませんが、土砂災害対策用のカメラや計測機器に触ったり覗いたりしないようにといったことが書いてあります。

オオタチツボスミレ? 紫色のスミレは至るところに咲いていました。

なんて花探しをしていられるのも最初の内だけです。なんと言ってもコースタイムは8時間以上。ゆっくりなどしていられません。

登山道の傾斜もジワジワと上がっていきます。


05:41 砂防ダムに近づかないようにとのこと。

といっても登山道上を歩いている分には砂防ダムがあることすらほとんど気がつきません。たまにコンクリートの柱っぽいものが林の奥に見える程度です。
管轄は松本砂防事務所。Webサイトには焼岳噴火に備えるための情報が掲載されています。Twitterもあります。
05:42 橋を通過。奥には何かの機械があります。

橋の上流側。

下流側。

これがカメラ(計測機器?)なのでしょうか。奥に見えるのが砂防ダム?

ヤマケイオンラインの地図で「峠沢」と書かれている地点はこの辺りのようです。峠沢というのは左手側(南側)にあるこの砂防ダムらしきものがある大きな沢全体のことなので、そのすぐ近くに到達する地点という意味だと思われます。正直地点として分かりやすい場所ではありません。何も知らない人が現地で「峠沢」と気がつくことはまず出来ないでしょう。実際山と高原地図等には載っていません。そもそもこの上高地~焼岳小屋間は登山用の標識が一切無いので初めてならGPS付き地図で確認しながら進んだ方が良いでしょう。
次第に上り坂らしい場所が増えてきます。


右側にも砂防ダム?




05:51 左側にトラロープが張られているところ。


焼岳が近づいています。

距離的には半分近くまで近づいてきましたが、登山はまだまだこれから。

05:58 両岸に鉄パイプのある橋を通過。

登山口から35分、河童橋から1時間以上経過しました。
急勾配の始まり→空中足場
この辺りから急勾配の道が増えてきます。



06:01 最初(最下)のハシゴ(アルミ製)を通過。



登山道上にわずかに雪が残っていました。邪魔なので出来るだけ壊して進みました。数日中には完全に無くなることでしょう。


このくらいはもう雪がある内には入りませんね。



寄せては返す波のように急になったりなだらかになったりを繰り返し、徐々に勾配がきつくなっていきます。





06:20 ん? 何か見えてきましたよ。

崖に架けられた橋……というか足場です。

振り返ると梓川が見えます。


ひょえぇ。

工事現場なんかでも使われていそうな踏板(エキスパンドメタル)でしょうか。鉄パイプの上に乗っています。滑り止めとしてか木の棒も等間隔でくくりつけられています。

右には手すりとしてロープも配置されていますが、少し離れていますしグラグラするので下手にしがみつこうとするとかえって危ないですね。ロープは緊急用として軽く手で包む程度にして、あくまで二本の足でしっかり立って歩きます。
06:21 空中足場通過。
空中足場→長梯子
長梯子
この長梯子はSNSで何度か見たことがあります。




360度パノラマ写真まで撮ってしまいました。

06:47 上へ。

正直言われているほど怖いところだとは思いませんでした(焼岳山頂近くの方がよっぽど怖い)。垂直というほどでもありませんし、下を見てもそれほど高度感があるわけでもありません。側面の一方は単なる壁ですし、もう一方もどこまでも落ちていくような感じでもありません。アルミ製とは言えそれほどガタガタするわけでもありません。しっかり固定してくださっています。見た目のインパクトが大きくてSNS映えするということなのでしょう。もちろん手足を滑らさないよう注意して登る必要はあります。横棒が太いので手で握りづらくはありますね。

登りきったところ。

長梯子→焼岳小屋
長梯子のすぐ後には大きな岩の斜面が2連続で待ち構えています。どちらも鎖が設置されています。


それを越えると何だかアルプスらしい景色が現れました。

それにしてもこの辺りは谷側がかなり急激に崩れています。

航空写真を見ると峠沢の深い谷間に向かって崩れている様子がハッキリ見て取れます。
後日5月30日頃には大雨の影響で登山道のこの部分が崩落し6月6日まで通行止めとなりました(ヤマレコのkol-yosiokaさんの山行記録にて登山道が崩落した様子が見られます)。どのように復旧したのかは分かりませんが、おそらくより右側に通路を作り直したのではないでしょうか。この辺りは火山によって出来た脆い地質のようですし、航空写真で見ても分かるとおり今後浸食がさらに進んでもおかしくありません。通行の前には必ず現地の情報を収集し、気をつけてお通りください。



最初どこに向かっているのかイマイチ分からなかったのですが、思っていたよりも焼岳山頂とは逆の方向へ登ることが分かってガッカリしました。

焼岳、いや、中尾峠の方へまっすぐ登れたら良かったのに。


何はともあれ右へ左へと笹原の急斜面をつづら折りで登っていきます。




登山道上に少し雪が残っていましたがここも足で蹴飛ばせてしまう程度。

何か書いてありますが読めません。

樹林帯に入ると……

07:06 すぐに沢山の雪が。

つま先で蹴り込んだりかかとでガンッと着地すれば数センチくらいの段差が作れるくらいの固さ。そこまでしなくてもたいていの場合そっと歩けば滑らず通過できました。

すぐに焼岳小屋が現れました。

07:08 焼岳小屋着。河童橋を出発してから2時間15分でした。

小屋の前はすでに雪がありませんでした。
焼岳小屋はまだ営業していません。今年の営業は6月18日からを予定しているそうです(焼岳小屋 ご予約の連絡先等について | 新着情報 | 上高地観光施設事業【公式】)。
ベンチが裏返しに重ねられていましたがそのまま真ん中に座らせていただきました。しばし休憩。

07:12 焼岳小屋発。

焼岳小屋→焼岳展望台
来た道とは反対側をまっすぐ進むとすぐに分岐がありました。

中尾と書かれた方を見ると大きく下っています。

どうもこれは岐阜県側の中尾地区に降りていく道のようです。
分岐の右側は当然西穂高岳方面でしょう。
戻って周囲をよく見ると、焼岳小屋のすぐ近くに西側へ登る道がありました。地理院地図だとズームレベルによっては「焼岳小屋」の文字が邪魔になって分岐の正確な位置関係が見えません。
気を取り直してそちらへ登ります。


こちらも10~20mくらいの雪の区間がありましたが、上で滑らないようにすることと境界部分の段差に気をつければ大丈夫でした。

さあ、焼岳までの稜線歩きです。


振り返ると雪を被った山が頭を出しています。西穂と奥穂ではないでしょうか。

右は急激な崖で下の方が見えません。



振り返ったところ。先ほどよりも穂高が広い範囲で見えるようになってきました。左手には笠ヶ岳が見えます。


太陽光発電パネルと何かの機械。観測機器でしょうか。

緯度経度的に気象庁の中尾峠の監視カメラかもしれません。
近くの穴からは水蒸気が噴き出しています。硫化水素臭も漂っています。

07:25 焼岳山頂~焼岳小屋の間にある小ピークに着きました。

標識の文字が読めません。過去の画像を検索すると、おそらく「焼岳展望台」と書かれていたのだと思います。





焼岳展望台→中尾峠
中尾峠→焼岳北峰







10分ほど登ったところ。


危険地域の看板。

危険地域 これより頂上までは 落石や浮石等があり 大変危険ですので十分 注意してください。



この辺りから次第に道が分かりづらくなってきます。ペンキマークを探しながら歩きます。

噴気が上がっているところもあり硫化水素臭も一層強くなってきます。

噴気のある方は×印。左へ。

丸印が点々と上の方へ。

結構上の方に丸印があります。きつい!

砂が多い急斜面なのでかなり滑ります。


20~30cmくらいの岩もゴロゴロしていて浮いているので足を取られないように注意が必要です。

急勾配を懸命に登ります。

大きな岩も増えてきます。これは大丈夫だろうと思うような大きな岩に手をかけて力を加えるとゴロっと転がり落ちたりするので大変危険です。


まだ5月の中頃ですが、そういえばここ北アルプスでしたねって感じ。

ガレザレの急斜面を急激に登ってきたことが分かります。

08:03 もうだめ。こんなところで立ち止まって2分ほど休憩。

08:09 やっとなだらかな道に

道は山頂を見て左に巻きながらなおも登っていきます。

左に傾いた道。その左は……

もちろん急斜面。ハシゴや足場が怖いとか言っている人がいますけど、どう見てもこっちの方が怖いと思うんですよね。高度感だってこっちのほうが全然ありますし。

ちょっと目線を上げるとこれまた綺麗なんですけどね。

後ろを振り返るとこんな感じ。落ちたら遺体の損傷は結構激しいんじゃないかなぁ。

微妙に道が細い場所があったりして怖いです。




山頂直下の雪が見えてきました。ここは雪に乗らずに下側を巻けるとの事前情報あり。

んー? まぁ、行けなくは、ない。

他にも雪との境目にある狭い場所へよじ登ったところがあって、そこが一番面倒でした。もっともそのさらに下を巻いて行けたのかもしれませんが。下の方は草が生えているそこそこ角度がある斜面なので、どこまで歩いて大丈夫なのかよく分かりませんでした。
どんどん溶けている最中でしょうから1~2週間もすればもっと歩きやすくなっているかもしれません。



08:33 中の湯からの道と合流。すぐ近くに見えるのが焼岳の北峰。

離れている方が南峰です。南峰の方が高いですが立入禁止なのだとか。

さあ最後のひと登り。




08:40 焼岳(北峰)着。焼岳上高地側登山口から3時間17分、小梨平キャンプ場から実に3時間54分でした。

焼岳北峰

上高地方面。

穂高方面。

笠ヶ岳方面。

西の方は霞が酷くてどうしようもないですね。空気が澄んでいれば白山が見えるそうです。

南峰と乗鞍岳。

ここ北峰の脇にぴょこっと岩だらけの所が飛び出していますが近づきませんでした。ひょっとしたらあの辺りの方が標高が高いかもしれません。

梓川を挟んで向こう側にあるのが霞沢岳です。稜線上一番左が六百山。

山頂。

標識はかなり読みづらくなっていますが、「焼岳北峰頂上 標高 2,393m」と書かれているように見えます。

標高2393mと書かれていますが、地理院地図を見ると2393m地点は別の場所にあって、この場所は等高線を数えれば2430mくらいに見えます。
火口を見下ろした写真。

底にある火口湖は正賀池(しょうがいけ)というそうです。

細かい話はWikipediaでも読んでください。
笠ヶ岳の方向、下に見える集落は中尾温泉のようです。

上高地方面。河童橋とほぼ同じ方向に見える山が蝶ヶ岳です。以前蝶ヶ岳から河童橋まで降りたとき、焼岳の姿がほとんど変わらなかったことから一直線上にあることに気がつきました。

一番はやっぱりこの穂高連峰でしょう。左奥には槍ヶ岳も見えます。

山頂でくつろぐ人々。

とはいえかなり強い風が吹いていて紐付きのハットすら飛ばされそうになりました。

北側パノラマ。

山頂の北側に立つとこれまで歩いてきた場所が見えます。

緑の屋根の焼岳小屋も見えます。
あまりの急勾配で中尾峠よりこちら側が見えません。もう少し際に寄れば見えるかもしれませんが、迂闊なことはやめておきます。
もう結構疲れているんですけど、これちゃんと降りられるのかしら……。
焼岳北峰→中尾峠
08:58 焼岳北峰発。まずは中の湯方面との分岐まで降ります。


それで上高地側へ降りていきます。





こんな感じで雪の下側を歩けるのはここまで。

振り返って、この段差を降りるのが怖かったです。下の方が水を含んでいて崩れそうでしたし。

先の方にある○印もここから見るとすごいところにあります。

降りてから振り返ったところ。

ここまで来れば後は道らしい感じになります。

とは言ってもこんなのですけどね。

この辺りで後ろから若いお兄さんが速いスピードで降りてきました。

先に行ってもらおうと立ち止まって見上げていたら、その人が滑って尻餅。その拍子にこぶし二つ分くらいの大きさの岩が落ちてきて私の足に直撃。幸いちょっと痛いなぁくらいで済みましたが、この辺りはヘルメットを被った方が良いかもしれませんね。



滑りやすくて危険な道です。

ただ、下りだと上りよりも道が見通せるのは良いところですね。

中尾峠までの間に何人かとすれ違いましたが、私も石を落とさないように細心の注意を払いました(単に疲れて休んでいただけ)。


少し道が広くなって一段落した感がありますがまだまだです。

左側。

後ろ。

右側。



危険地域看板が転がっている所。


10:04 中尾峠まで降りてきました。山頂から1時間6分。コースタイムは50~55分くらいなので時間超過です。

中尾峠→焼岳展望台
焼岳展望台→焼岳小屋
焼岳小屋→長梯子
長梯子→空中足場


峠沢の最上部。ものすごいV字の切れ込みです。雨水による浸食地形(ガリ)なのでしょうか?

この辺りでも何人かとすれ違ったと思います。登山口までの間に10~20人くらいの人たちとすれ違いましたが、そのほとんどが外国人と思わしき方々でした。日本人だと昼前のこんな時間に登る人はあまりいませんよね。そんな調子で頂上まで行けるの? というような人もいましたが、展望台が目的なのかもしれません。

木の根を跨ぐところ。



11:00 連続ハシゴの下り。

よく見ると破断しているところもあります。たた、地面も階段状に掘ってあるので力は分散するのかもしれません。


この辺りは結構急激に下りますね。


11:07 二番目のハシゴを通過。

11:08 空中足場を通過。

急勾配の終わり→焼岳上高地側登山口
焼岳上高地側登山口→西穂高岳登山口
上高地温泉ホテル
上高地温泉ホテル→小梨平キャンプ場
小梨平キャンプ場泊
すぐにテントに入って横になりました。
しかしテント生地を透過してくる日光がジンワリ暑いです。外に出てベンチに座れば木陰ですし涼しいのですが、なかなか呼吸が整いませんし、頭も痛いしでやっぱり横になりたい気分。
そこでダイソーで買ったアルミシートをインナーとフライの間に挟んでみたところテントの中が嘘のように涼しくなりました。

タープが無くても日除けが出来るなんて。これはちょっとした発見でした。
ちなみにこのアルミシートは地面に座ったり寝そべったりするときにも使えますし、もちろんテント内に敷くことも出来るので去年から装備に加えていたのでした。
安心して横になり、スマホをいじったり少し居眠りをしたりして過ごしました。



夕食は昼食用に買ったパンの余りで済ませました。
その後周辺を散歩。

小梨平キャンプ場の東側の出入り口(明神池側)付近に猿の群れが闊歩していました。



一時は私がテントを張っている区画のすぐ南側にも来ていたようです。例のクマ事件も南東側の区画(A~B)で起きたようですし、野生動物はそっちのほうに現れる可能性が高いのかもしれません。


徳沢~横尾間で工事による迂回路が設定されているようです。

松本市のサイトによれば、令和5年4月1日~令和5年7月7日頃 及び 令和5年10月16日~令和6年3月31日とのこと。去年も同じような期間に工事を行っていたようです。
また、6月20~21日に徳沢エリアが停電となるため宿泊施設が休業し、電話やWi-Fiが一時不通となるようです。


人が少なくなって静かになった河童橋。ジャブジャブと川の音だけが聞こえます。この雰囲気は特別感があってたまりません。

クマ目撃情報(5月3日 13:30頃 河童橋~岳沢湿原)。

近くのテントの方とおしゃべりなどをしてから9時くらいに寝ました。
3日目 帰宅
小梨平キャンプ場
小梨平キャンプ場→上高地バスターミナル
上高地バスターミナル→新島々→松本
まだ少し時間がありますが、すでにザックが置かれていたのでその後に私も並べました。


10:30 バスに乗車。

10:40 上高地バスターミナル発。

バスの中から焼岳にお別れ。

10:56 中の湯バス停で何人か乗車しました。焼岳へはこのバス停からもアクセスできます。ただし登山口までは結構歩くみたいです。登山口の近くにある中の湯温泉旅館に泊まれば送迎してもらえるようです。

このバス停では乗るのに事前予約は不要です。座れない可能性はあるかもしれませんが。




11:42 新島々駅着。


Web決済した人はメールを見せると「運賃精算済」の証明書を手渡されます。これで松本駅の改札を出られます。

帰りもなぎさトレイン。

12:36 松本駅着。

感想
5月に上高地でのんびりウォーキングでもして過ごしたいなとは前々から思っていたのですが、まさか焼岳まで行けてしまうとは思っていませんでした。
しかし行ったは良いけれど体力的には厳しくキャンプ場に帰った頃にはヘロヘロ。以降何もする気が起きませんでした。まぁ、別に何かしなきゃいけない事があったわけでも無いんですけどね。普段は8時間以上の山行は出来るだけ避けています。そのくらいの時間になると山の楽しみ方自体が変わってきてしまいますし、そもそもちゃんとした体力作りをしないと危険です。日常生活とはあまりにかけ離れている運動量です。日頃あまり運動しない人間にしてはよく頑張りました。
上高地からの焼岳は、最初は緩やかで油断させつつ、寄せては返す波のごとく勾配と平坦を繰り返しているうちにいつの間にかキツくなり最後はとんでもないところに来ちゃったな、という感じでした(勾配に関して)。登山道自体は山頂近く以外は終始歩きやすい道でした。ただ、休憩スポットや目印になるようなものが少ない気はしました。ほとんど平らなところから激しい急登まであるので距離で区切るのも難しいですし、コースタイムも山と高原地図だと田代橋から焼岳小屋まで1区間になっています。ペースを推し量るのが困難でした。
ハシゴや足場は見た目のインパクトほど怖いところではありませんでした。所詮は文明の利器です。一方で焼岳山頂に近いザレガレの急斜面は砂や浮き石で滑りやすく道も狭く高度感もありハシゴなどよりも断然怖さを感じました。人が多いときは落石にもより一層注意が必要でしょう。可能ならヘルメットを被った方が良いかもしれません。
そして雪。山頂直下の雪は下側を巻けると聞いていたのですが、確かに巻けますがどのように巻くか戸惑う部分もありました。登るときは力任せで出来ましたが、下るときはどこを降りたら一番良いのかよく分かりませんでした。どんどん雪は溶けているので、すぐにもっと通りやすくなることでしょう。
山頂は風が強く肌寒く、景色もあまり遠くまでは見えなかったのは残念でした。疲れてもいましたしゆっくり滞在という気にもなりませんでした。もっとクリアに見えるときにまた行きたい気もしますが、次の機会があるかは分かりません。
上高地は花も咲いていましたし気温もちょうど良くすこぶる快適でした。まだ寒いかなとも思ったのですが、5月にしては暑い日だったので上高地ではちょうど良かったのかもしれません。本当は山など登らずにキャンプ場でボヤボヤしていたいところなのですが、あの辺りにはまだまだ登ったことがない所が沢山あるのでそんなゆとりのある楽しみ方が出来るのはいつになることやら。今年は何度も行きたいと思っていたのですが、実際どうなるかはその時々の気分次第ということで。
“小梨平キャンプ場にテントを張って上高地・焼岳” への1件の返信