2020年10月3日(土)、宮城県と岩手県の県境にある栗駒山へ行ってきました。
神の絨毯。すごい表現じゃありませんか。まるで神様が敷いた絨毯のような紅葉ということなのでしょう。
そんな異名を取る山があることを知ったのは恥ずかしながらつい最近、秋の涸沢に行くようになってからでした。他にも紅葉の綺麗な山がないかなと探したところひときわ目に付いたのがこの栗駒山でした。ただ、紅葉の時期がちょうど涸沢と同じくらい。一昨年、去年と涸沢に行ってしまったので栗駒山へは行けませんでした。しかし今年こそは涸沢は後回しにして栗駒山へ行こうと去年の段階から決めていたのでした。
登山としては(少なくともメインルートは)難しい山では無く、新幹線を使えば東京から日帰りが可能。体への負荷が少ない分、どちらかと言うと写真を撮りに行くという気分で行ってきました。
私のつたない写真技術でどこまで良さを伝えられるか分かりませんが、一応どんなところなのかご紹介できればと思います。
公共交通機関でのアクセス方法
ミヤコーバスが毎年紅葉の時期、かつ、土日祝日限定で登山口への直通バス「栗駒山紅葉号」を運行しています。
JR石越駅またはJRくりこま高原駅から登山口となるいわかがみ平までを結びます。
2020年は9/19(土)、20(日)、21日(月・祝)、22(火・祝)、26(土)、27(日)、10/3日(土)、4日(日)、10日(土)、11日(日)の計10日間の運行が決定しました。
予約は不要です。
本数は1日1往復のみ。2020年の時刻表は次のようになっています。
- 往路
- JR石越駅8:55 → JRくりこま高原駅9:20 → くりこま荘10:10 → ハイルザーム栗駒10:15 → 10:30いわかがみ平
- 復路
- いわかがみ平15:00 → ハイルザーム栗駒15:15 → くりこま荘15:20 → JRくりこま高原駅16:15 → 16:35JR石越駅
東京方面の住人にとって特筆すべきはJRくりこま高原駅で乗り降りできる点でしょう。くりこま高原駅は新幹線専用駅。東北新幹線で仙台の少し先に位置する駅です。
それ故、朝一番の新幹線を使えばその日のうちに行って帰ってくることが出来るというわけです。
その代わり日帰りだと滞在時間が10:30~15:00と(バスの遅れも見込むと)4時間ちょっとくらい。あまりゆっくりは出来ません。長く滞在するならばバス停にもなっているくりこま荘やハイルザーム栗駒といった宿に滞在することになるのでしょう(空室があれば)。
どちらもいわかがみ平から6~7km(徒歩1~2時間)ほどの位置にある宿のようです。駅との送迎バスやいわかがみ平へのシャトルバスもあるようなので、平日に公共交通機関のみで行くのに利用できるかもしれません。詳しいことは分からないので宿に問い合わせてみると良いと思います。
今回は新幹線で日帰りします。
他にも様々な旅行会社でツアーが企画されているのでそれに参加する方法もあります。また、北側(岩手県側)の須川温泉から行く方法もあるようです。
天候判断
9月。暑かった日々は嘘のように消えて無くなりあっという間に涼しくなりました。各地で一気に紅葉が進み、9月末から10月頭、栗駒山も見頃を迎えたとの報が入りました。
となると選択肢はバスの都合上10/3(土)、4(日)、10日(土)、11日(日)のいずれかしかありません。
現状で十分見応えがありそうですし来週まで紅葉がもつか、また、天気がどうなるかは分かりません。となると10/3(土)、4(日)のいずれか。
どちらも雲が多い予報でしたが土曜日の方がマシのようでした。快晴を狙えないのは残念ですがしかたありません。曇りでも紅葉は撮れますし、とりあえず行ってどんなところか把握しておけば来年以降の参考になるでしょう。というわけで3日土曜日に行くことにしました。
新幹線でくりこま高原へ
2020年10月3日(土)早朝。武蔵野線を経由して大宮駅へ。
朝6時前の大宮駅新幹線改札口前はいつもシャッターが降りています。6時にシャッターがオープン。
切符は前日にえきねっとで購入。新幹線eチケットのトクだ値15%割引、大宮からくりこま高原まで乗車券込みで9540円でした。改札はあらかじめ登録しておいたSuicaでタッチするだけです。
ホームへ行く前にNew Daysでお茶を購入。昼食は地元のコンビニで購入済みでしたが、バスに乗るために1万円札を崩す必要があったので。
6:30 やまびこ51号 大宮駅発。
久しぶりの新幹線です。前に新幹線に乗ったのはいつだったでしょうか。
まわりに登山者風の方も沢山いましたが途中で降りた方もいました。
8:26 くりこま高原駅着。
わずか2時間弱で仙台の先まで来てしまいました。それも全然揺れません。そして正確。高速バスばかり乗るようになってからそのすごさが身に染みるようになりました。高いけど。
乗っていたのは8号車で目の前が降り口でした。シンプルな新幹線駅なので乗降口はホーム中央のみです。
8号車の扉を一番最初に降りたのは私でした。しかしすぐに後ろの女性が早足で追い抜いていきました。私も釣られて後を追います。
くりこま高原駅でバスを待つ
皆早足で改札(1つです)に向かって行きます。は、はやい……。
皆改札を出て左へ向かうのでついていくと外にバス乗り場がありました。
バス乗り場には既に列が出来ていました。まだ発車まで1時間弱あるというのに……。前の方に並べましたが既に来ていてザックだけ置いてある人が後で帰ってきて最終的に前に20~30人くらい。
後ろには長蛇の列。右に曲がって写真の右外までいます。
しばらくすると行き先表示が「ミヤコーバス」となっているバスが次々と到着して駐車場に並びはじめました。
クラブツーリズム等他社のツアーバスも来て駐車場に止まり、旗を持った人が先導して乗客が乗り込んでいきました。レンタカーが駅前に3台止めてあり鍵を受け取って乗車する人たちも見かけました。
9時に乗車開始。1台のバスに29人と言っていたような気がしますがうろ覚え。全員座れます。路線バスタイプなので補助席はありません。
石越から来たと思われるミヤコーバスがロータリーを通過し、その直後に私たちが乗っているバスも後を追うように出発しました。
出発までに駐車場に並んでいたミヤコーバスは4~5台くらい。出発時にもまだ沢山の人がバス停に並んでいましたが栗駒山紅葉号の列なのかは不明です。
くりこま高原駅からバス(栗駒山紅葉号)でいわかがみ平へ
9:21くりこま高原駅発。バスは最初田んぼの中を走っていましたが次第に山の中へ。
途中くりこま荘とハイルザーム栗駒に寄った後、最後につづら折りを登って10:38いわかがみ平に着きました(8分遅れ)。
バスの走行ルート:
運賃はくりこま高原駅から1600円(石越から1700円)。現金のみ。千円札までは両替機で両替可能。(帰りのバスでは運転手さんが千円札だけ運賃箱では無く手で受け取るようにしていたので、高額紙幣でも少数なら両替できたかもしれません。あまり当てにすべきではないでしょうが)
いわかがみ平
いわかがみ平は駐車場になっていますがきっと早い時間に満車になっていたことでしょう(追記:Overtourismと交通規制 | 栗駒山と登山によれば深夜2:30に満車となったそうです!)。他の場所に駐車場があってシャトルバスで行き来できるらしいです。
公衆トイレあり。女子トイレは長い列になっていました。レストハウスにもトイレはありましたがそちらも同様。
レストハウスへ至る前、右に東栗駒山への登山口がありました。
駐車場から数10m登ったところに栗駒山レストハウスがあります。
レストハウス前にいわかがみ平と栗駒山の地質的な解説がありました。栗駒山麓ジオパークという場所に指定されているようです。
本日のコース
今回歩くコースは行きも帰りも中央コースと呼ばれる最も楽なメインルートです。コースタイムは上り1時間30分、下り1時間10分。
東栗駒コースも面白そうだなと思いましたが、今回の目的はあくまで紅葉。それを余すところなく堪能するためあえて中央コースのみにしました。
栗駒山の各コースについては栗原市観光ポータルサイト ぎゅぎゅっとくりはらに詳しく書かれています。
いわかがみ平→栗駒山山頂(中央コース上り)
レストハウスの左側に中央コースの入口があります。
10:51 栗駒レストハウス発。
とにかく人が多い! サクサク追い抜いていきますが狭いところや向かいから人が来るときは難しいです。
足下は岩が敷き詰められている道です。特段歩きやすいわけではありません。
ほぼ真っ直ぐな道がひたすら続いていきます。
登っていくうちに次第に葉っぱの色が鮮やかになっていきました。
11:20 視界が開けるとそこには美しい丘が。
急いで登ると案外疲れます。
所々道がえぐれているような所もありました。
11:31 長い長いスロープを登りきると奥に栗駒山の山頂が姿を現しました。
うわー、神の絨毯だー!
写真だとなかなかそのものピッタリな色にはならないのですが、若い女性が「この色ヤバくない?!」とか言って近くの葉を指さしちゃうような鮮やかさなんです。
まさに絨毯。
鮮やかな紅葉の回廊を歩いて登っていく人たち。
おっと私もそろそろ進まなきゃ。
はいはい道標道標。ろくに読まずに進みました。今ちゃんと読んでみるとこの時点でまだ65%くらいしか進んでいなかったんですね。
同じような写真を色々設定を変えながら撮影。なかなか色が見た感じの印象通りになりません。かなり鮮やかな黄色寄りのオレンジ。うーん赤くなっちゃうなぁ。
これは近いんですけどもっと鮮やかなんですよね。暗いのかな。
あれもう12時過ぎてる。予定ではこのくらいの時間で山頂に着いてるはずだったんだけど……。急いで登らなきゃ。
山頂近くはこれまでより急勾配になりますが階段が整備されているので歩きやすいです。
こちらよりわずかに遅い人を追い越すのはなかなかじれますね。おっとマットにぶつかってしまいました。すみません。
12:28 栗駒山山頂着。いわかがみ平から1時間38分でした。コースタイムは1時間30分なので8分遅れです。
栗駒山山頂
山頂北側(岩手県側)の風景はどうなっているのかな、と見に行きました。
こちら側もなかなか良い色。
産沼というところにつながっているらしいのですが、あまり下の方が見渡せないせいか沼のようなものは見えませんでした。北の方には温泉(須川高原温泉【公式サイト】)があってバス(岩手県交通 一関・平泉地区)も通っているらしいですね? そのうち行ってみたいかも。
山頂は確かに人が多いですが高尾山に慣れ親しんでいる身にとってはこんなものは混雑しているうちには入りません。
西の方の眺め。美しい稜線が見えます。歩いて見たいなー。
南~南西の方(登ってきた方向)の眺め。こちらの方向を見ながら座ってお昼ご飯を食べるとしましょう。
左を見ると続々と人が登ってきています。
今日のお昼ご飯はセブンイレブンのかつおめしセット。山で食べるにはぴったりのセットです。
食べ終わったらまた写真撮影。
少し霞んでいるせいかどうしても白っぽく写ってしまいますね。近くでスマホで撮っていた女性は「茶色くしか写らない……」と言っていました。なかなか難しい。
それでもやっぱり素晴らしい眺めです。まさに神の絨毯と呼ぶにふさわしいでしょう。
栗駒山山頂→いわかがみ平(中央コース下り)
時刻は12:53。バスは15:00発なのでまだ2時間ちょっとあります。下りのコースタイムは1時間10分なのでそれほど急ぐ必要はありませんが、この調子で写真を撮っていたらまた遅れてしまうかもしれません。さすがに乗り逃すのはまずい。そろそろ出発します。
東栗駒山への分岐。
13:59 栗駒レストハウス着。ほぼコースタイム通りでした。
少し早く着きすぎてしまったのでソフトクリームを頂きました。
いわかがみ平に降りてみるとくりこま高原行きのバスはすでに乗車が始まっていました。
ただし、石越駅へ行く人を先頭のバスにまとめるために若干混乱がありました。先頭のバスに乗ってしまったくりこま高原へ行く人は後で別のバスに移動させられたようです。(さらにそのバスが走行中に煙を噴いたとかで他のバスに分乗し立ったまま乗る羽目になっていました。私は最初先頭のバスに乗り込んだのですが、後で移動する必要があるかもしれないと聞いてサッサと後のバスに移ったので問題ありませんでした)
帰宅
15:01 いわかがみ平発。
バスは濃霧の中を降りていきました。
やがてバスは山間部を抜けて平地を走り始めました。
若干遅れているようですが次の新幹線は16:57には間に合いそうです。なので車内からえきねっとで指定券を申し込み。今回はeチケットではなくて大宮までの特急券と地元までの乗車券を別々に購入してみました。乗車券を地元まで通して買うと安くなる可能性があるかなと思ったのですが、後で計算したら逆にわずかに高くついていました。素直にeチケットにすれば良かった。行き先によってはeチケットの方が高くなる場合もあるらしいです。
16:25 くりこま高原駅着。10分遅れ。
特急券券売機とみどりの窓口はともに長い列が出来ていました。そりゃこれだけの人間が一度に押しかけるわけですからこうなります。新幹線の券売機は操作が難しいので流れが悪いです。やっぱりeチケットにすれば良かった。
ホームには登山客が多数。
16:57 くりこま高原駅発。
大宮駅でご飯を食べてから帰宅しました。
感想
終始曇り空でしたがそれでも素晴らしい紅葉が見られました。これで青空だったらどうなってしまうのでしょう。
曇り空なので写真が暗くなりがちで困りました。現地でもかなり調整しましたが今このブログを書いているときも暗いと思った写真は明るく加工しています。現地は別に暗くはありませんので。
写真はなかなか目で見た色にならなくて苦労しました。紅葉はいつも苦労するのですが、ここまでどこもかしこも紅葉だとこれまでより格段に難しく感じました。今回の写真はPixel3とちゃんとしたカメラの二つで撮っています。Pixel3はHDR+のおかげで明るさの差が大きい場面もある程度無難に撮ってくれます。雲の濃淡と地上の様子が同時に表現できているのはその賜と言えるでしょう。とはいえ曇り空の下ではデフォルトではどうしても全体的に暗めに写ってしまうので、手動で明るくする必要がありました。また、紅葉や緑色がなぜか褪せて写ってしまうことがあります。狙っている点をタップすると明るくなったり鮮やかになったりするのでそのようにして調整するか、やはり後から手動で調整する必要がありました。ちゃんとしたカメラの方は、曇り空設定だと赤すぎたので手動で色温度を調整してみたのですが、カラーバランスを間違えたせいか一部赤すぎる写真を撮ってしまいました。明るさも暗すぎたり明るすぎたり。鮮やかさに欠けていたので彩度を増やしてみても色自体が違ってしまっていたり、なかなか一筋縄ではいきませんでした。RAW画像で撮影して帰ってから調整しようとしてもすでにどの色が本当なのか分からなくなっているため無意味でした。現地でじっくり調整した方が良さそうです。そんな事ばかりやっていると全然山頂にたどり着きませんけど(笑)
というわけで、現実にはどのように見えるのか。行ってその目でお確かめ頂ければ幸いです。
他の登山道も気になるところがありましたし、またいずれ行きたいと思いました。
“長いスロープを登るとそこにはオレンジの衣をまとった栗駒山がいました” への1件の返信