2018年9月30日~10月3日、涸沢へ行ってきました。
一生に一度は見に行くべきと言われる涸沢の紅葉。テント泊を始めたときに絶対に行きたいと思っていた場所でした。
当日は台風一過で天気も良く紅葉も見頃。
コースタイム片道約6時間の行程はテント泊を始めてから最長でしたが、思ったより歩きやすい道で無事に行って帰ってこられました。
前泊
台風の影響で夜行を取りやめ松本前泊へ
9月に入り紅葉の時期を今か今かと待っていました。 Twitter等で日々状況を調べていると、どうも9月の最後の週あたりが良さそうとのこと。
しかし今年の9月は秋雨前線と台風で天気が悪い日が多く、9月末も大型の台風24号が迫っていました。
台風が過ぎた後の予想天気図を見ると、前線が残っており微妙なところもありましたが概ね晴れそうです。 ということで、台風通過直後となる10月1日朝を狙って9月30日(日) 22:25新宿発の夜行バス「さわやか信州号」を予約しました。
9月30日から10月1日は台風24号が日本列島を縦断した日でした。 ちょうど夜行バスが走る30日夜から未明にかけて台風が関東を通過。 最大風速は50mとの予報。
30日は朝から高速バスの運休が増えており、さわやか信州号も運行出来るのか心配でした。 もし夜行が運休なら松本で前泊して朝一で上高地へ行くという方法もあります。 松本からの朝一だと7:05上高地BT着になるのでさわやか信州号の5:20着には劣りますがその差は1時間45分ですし、そこから出発しても昼頃には涸沢に着けるでしょう。 松本駅近くのホテルを探してみると安いホテルが空いていました。
というわけで予定を変更すべきか迷いながらヤキモキしていると、首都圏のJR各線が20時から運休とのニュースが。 これでは下手すると新宿にたどり着けません。着けたとしても、もし発車直前で運休したら家に帰れません。 この時点でさわやか信州号はキャンセルして松本前泊に切り替えました。
切り替え作業:
- さわやか信州号(決済前)をキャンセル
- 中央道日野~松本バスターミナルの高速バスを往復割引で予約・オンライン決済(5190円)
- 楽天トラベルで松本ツーリストホテルを予約(3700円)
(参考:立川から上高地への行き方)
後で確認したところ、この日の「さわやか信州号」は結局運休になったようです。新宿~松本線も夜以降の便は運休。危ないところでした。
中央道日野~松本前泊
中央道日野を夕方に出る便に乗るべく家を出ました。
夕方甲州街道駅から中央道日野バス停へ。雨が降っていましたが折りたたみ傘を差して歩きました(大型ザックを背負って傘を差すのは実は初めて)。
17:26 中央道日野バス停発
19:57 松本バスターミナル着
20:02 松本ツーリストホテル着
今回泊まったのは松本バスターミナルのすぐ近くにある松本ツーリストホテル。なんと一泊3700円でした。寝て早朝に出発するだけにしては十分すぎる宿です。
ホテルに荷物を置いて夕食。近くの「盛よし」という洋食屋さんに行ってみました。
カニコロッケとトマト煮込みハンバーグチーズ焼き定食。気軽な雰囲気でとっても美味しい洋食屋さんでした。
ホテルに帰ってテレビで台風ニュース等を見てから就寝。なかなか寝付けませんでしたが頑張って寝ました。
1日目
松本~上高地BT
04:30頃起床。04:50チェックアウト。
バスターミナルそばのファミリーマートで食料品を購入。おにぎり6個、パンとドーナツ。
5:00松本バスターミナル着。窓口は既に開いていましたが、入口にあった券売機で松本~上高地の往復乗車券を購入(4550円)。
バス乗り場にはすでに10人程度の人が待っていました。
10分前にバスに乗車。05:30松本バスターミナル発。
06:57上高地バスターミナル着。
上高地BT~横尾
朝食としておにぎりを一つつまんでから07:03出発。上高地~横尾は6月にも歩いた道です。
河童橋付近。梓川は増水して濁っています。
雨は最初気にならない程度でしたが次第に強くなってきました。 しかたないので明神館でザックカバーとレインウェアを装着。
徳沢着。小腹が空いたのでおにぎりを一つ。
09:25 横尾着。着く前に雨は上がりました。
上高地バスターミナルから2時間22分。
上高地バスターミナル 07:03→(5分)→07:08 河童橋 07:08→(35分)→07:43 明神館 07:48→(45分)→08:33 徳沢 08:39→(46分)→09:25 横尾
横尾~本谷橋
横尾の水場でペットボトルに水を補充。少し休憩してから09:33出発。ここから先は初めて。ドキドキわくわくです。
平坦な林の中を進んでいきます。
所々登るところもありますが、ほぼ平坦で岩も少なく歩きやすい道です。
1時間足らずで本谷橋が見えてきました。
10:24本谷橋着。横尾から51分。川は増水しています。
渡った先で少し休憩して10:28発。
本谷橋~涸沢
本谷橋を越えるとすぐに登りが始まります。
ここから涸沢まではコンスタントにずっと登りが続きます。 とはいえ白馬大池に行った後ではかなり歩きやすい道だと感じました。
岩で階段が作られていますが、段差が非常に小さくよじ登るような所は一切ありません。
坂の後半は景色もかなり良くなります。
この辺りからの紅葉が非常に綺麗でした。
勢いよく流れている沢、カラフルな木々、切り立った山々。美しすぎる風景に何度も写真を撮らずにはいられません。
涸沢の分岐。
ここまでくればゴールはもう目の前です。どちらから行っても大丈夫ですが、テント場へ直接出るのは涸沢小屋の方。
すぐにテント場の一番下の端に出ます。正面(右手)に見えるのが涸沢小屋、左手にテント場の受付があります。
11:51 涸沢テント場(国設涸沢野営場)受付着。
本谷橋から1時間23分、横尾から2時間18分、上高地BTから4時間48分でした。頑張った!
横尾 09:33→(51分)→10:24 本谷橋 10:28→(1時間23分)→11:51 涸沢テント場
涸沢ってこんな所
受付の前にテントを設営。整地された場所ならコンパネは不要
扉の前の張り紙を見ると受付は14:30からとのこと(日によって異なるようです)。 「設営してお待ちください」と書いてあるので早速設営場所を探しました。
涸沢のテント場は岩だらけと聞いて心配していたのですが実際に見てみると整地された場所(大きな岩が取り除かれて平らになっている場所)が沢山ありました。 テント場は斜面に広がっていて、斜度がきつい下の方では一部段々畑のようになっていました。 かなり端の方まで整地された場所があるので、受付の近くが埋まっているからと言って諦めずに探してみましょう。
大きな板(コンパネ)をレンタルしていますが、整地された場所なら不要だと思います。 逆に整地されていない場所に張りたい(張らざるを得ない)場合はコンパネが無いとつらいと思います。 コンパネは受付建物の前に積まれているので設営時に持っていき、後でレンタル料を支払えばOKです。 混んでいるときは早々に無くなってしまうので、できるだけ早く到着して設営を済ませたいところです。
この日は台風通過直後のせいかテント場は空いていて場所は選び放題でした。 どこにしようか迷いましたが、中央の道から二段下にある整地された場所にしました。あまり道に近いと通行人が気になりますし、遠いと不便ですので。
やや風が強くテントが横倒しになる一幕もありましたが無事設営完了。
テントから見える景色はこのようになっています。
とっても便利な涸沢ヒュッテ
荷物を整理してから周辺を散策しました。
まずテント場のすぐ隣にあるのが涸沢ヒュッテ。
ここのパノラマ売店が素晴らしいのです。絶景を目の前に飲食が出来ます。朝5時くらいから営業しているので、朝食にラーメンやカレー等を食べることも出来ます。おでんは仕込みがあるので9時くらいからのようです。カップ麺やパン、スナック菓子も売っていました。
早速おでんを頂きました。一つ100円(たまごだけ200円)。がんも、ちくわ、さつまあげ3種類で300円。うーん出汁が甘めで美味しい!
眺めも最高です。
携帯電話(ドコモ)の電波はこのテラスの上からのみ入りました。下の方へ吹き抜けになっているところに近づくとアンテナが立つので、小屋の中から漏れ出ているのを拾っているのでしょうか? 通信は安定せず、画像をアップロードするのも一苦労でした。
水場と公衆トイレもあります。
北穂高岳に近い涸沢小屋
涸沢ヒュッテからテント場を挟んで反対側にあるのが涸沢小屋です。
テント場からだと涸沢ヒュッテよりほんの少しだけ遠いですが、こちらも売店や公衆トイレが利用出来ます。
少々冷えてきたのでもつ煮(800円)を頂きました。うーん、温まる~。
カールの上部側(奥穂高岳方面)を散策
少しだけカールの上の方向へ行ってみました。大きな岩だらけで少し移動するのも一苦労でした。
池やヘリポートなんかもありました。
テント場受付
そうこうするうちに14:30を過ぎていたのでテント場の受付へ。
キャンプ届に必要事項を記入して料金を支払うと設営許可証と領収書を渡されます。
許可証はテントの見えるところに取り付けて、帰るときに返却します。
夕食
夕食はおにぎりの残りとフリーズドライの豚汁。
夜のテント場
テントの明かりも綺麗と聞いていたので撮影してみました。とはいえこの日はこの時期にしては本当にテントが少なかったみたいです。
星も一瞬だけ見えましたが、すぐに雲に覆われてしまいました。
この日は風が非常に強く、寝ている間もテントが強く煽られて何度も起きてしまいました。フライシートの辺側を引っ張るペグが何度も抜けてカランカランと音がしたので、その都度外に出て直したりしました。
気温もかなり低く手袋とマフラーが欲しくなるほどでしたが、寝袋は例によってモンベルダウンハガー800の#2(リミット温度-6度、コンフォート温度0度)なのでくるまっている分にはそれほど寒くありませんでした。まさに涸沢に行くためにこの寝袋を選んだのです。
2日目
モルゲンロート
朝5時頃起床。風はまだ吹いていますが大分弱くなりました。なぜかフライシートは全然結露していませんでした。強い風に吹かれたせいでしょうか?
山に囲まれた涸沢では日の出時刻になっても日が差すことはありません。
涸沢ヒュッテではモルゲンロートを見ようと沢山の人が集まります。
5時40分頃、山の上に赤い帯が広がり始めました。
この日は雲が多く全体が赤く染まることはありませんでした。
06:19 朝食は昨日コンビニで買ったパンとドーナツ。
涸沢テント場で過ごす一日
帰るのは明日にして今日はテント場でゆっくり過ごすことにします。
とはいえ何もすることがないので、この日も周辺をぶらぶら散策してみることにしました。
涸沢ヒュッテの下にパノラマコースと書いてありました。上級者向けなので初心者は入らないようにと注意書きがありましたが、少しだけ先に進むと涸沢一帯が見渡せる場所がありました。
それ以上は進まずヒュッテに戻りました。
涸沢小屋のすぐ下辺りを散策。涸沢小屋の横を水が勢いよく流れているのですが、その行き着く先が今ひとつよく分かりません。できるだけ辿ってみたのですが、植物が覆い茂っているところで消えています。おそらく岩だらけの地面に吸い込まれて地下水になっているのだと思いますが……。
再びヒュッテの方へ。
11時頃。お腹がすいたので涸沢ヒュッテでラーメン(1000円)を食べました。コーンが良いアクセントになってますね。
テントに戻って一休み。
テントの入口を全開にしてみると寝そべりながらでも良い景色が拝めます。ちなみに虫は全くいないというわけではありませんが、それほど多くはありません。
横になっているうちに少しだけウトウト。
また涸沢ヒュッテに行ってインターネット接続を試みたり、おでんセット(全部入り700円)を食べたり。
午後2時頃。気がつけばテント場はすでに暗くなっていました。カール上部の山の裏に太陽が隠れてしまうため、太陽が差している時間はとても短いです。
登山客も続々到着。昨日よりもかなり人もテントも多いです。
受付時間は昨日よりもやや早く、コンパネも早々に無くなっていました。
そして日も暮れて18時頃夕食。暗い中ヘッドランプをつけてアルファ米とレトルトカレー、フリーズドライのなめこの味噌汁。
昨日より密度が上がった夜のテント場。
一度寝て深夜0時頃起床。今日は昨日と打って変わってほとんど風がありません。寒いことには変わりませんが。
星が見えたので撮影に行こうと思ったら……
すぐに雲が出て見えなくなってしまいました。
3日目
2回目のモルゲンロート
朝5時頃起床。
この日は山の近くに雲はありませんでしたが、太陽側に雲があるのか時間になっても薄ら明るくなるだけ。
少し経ってから急に光が強くなりました。
朝食
6時過ぎくらいまで見てからテント場に戻って朝食にしました。
カップヌードルリフィルだけ。
テントの片付け
今朝はテントがかなり結露していました。ぐっしょりです。やはり風が無かったせいでしょうか?
今日はバスの時刻に間に合わせる必要があるのであまりゆっくりは出来ません。日が差すまで待っていられないので、最低限の水分を拭き取って軽く乾かしてから畳みました。
許可証を受付前のボックスに返却してテント場を後にしました。
下山
涸沢ヒュッテで水を汲んでから07:50下山開始。
涸沢ヒュッテの少し下くらいの紅葉が綺麗です。明るさに差がありすぎるせいかうまく撮影出来ませんでしたが。
気がつくと沢に水が流れていません。登りの時は結構流れていたのですが。
本谷橋へ向かう途中、何人もの人を追い越し、また、すれ違いました。
所々すれ違えない場所で渋滞発生。
特に本谷橋の手前は待たされました。
今日の本谷橋付近は1日目に比べて水量が減り下の道も通れるようになっていました。
本谷橋から先も所々団体の列を追い越すのに苦労しました。
09:50横尾着。今日は登山者が沢山います。ほとんど休まずサッサと先へ。
新村橋付近でサルの群れに遭遇。
10:40徳沢着。うー、足が痛い。少し休憩。
徳沢園の食堂でコーヒーソフト(500円)。シナモンが良いアクセントです。体は冷えますが。
10:57徳沢発。徳沢公衆トイレに寄ってから先へ。
11:41明神館通過。
小梨平キャンプ場の中を通って川沿いを通り。
12:20河童橋着。
水の濁りも消えていました。
涸沢テント場 07:41→07:49 涸沢ヒュッテ 07:50→(1時間12分)→09:02 本谷橋 09:07→(43分)→09:50 横尾 09:55→(45分)→10:40 徳沢 10:57→(44分)→11:41 明神館 11:41→(39分)→12:20 河童橋
テント場から4時間39分でした。
昼食~帰宅
12:26~12:57 河童食堂で山賊定食。
高いけどパリパリで美味しい!
13時前に出て、バスの時刻までベンチで梓川を眺めながら時間を潰しました。
14時前に上高地バスターミナルへ。
一昨日出発前にもらっておいた整理券番号は1。見事予定通りです。
整理券番号順に呼ばれてバスに乗車。
14:30上高地バスターミナル発。
15:32新島々駅着。電車に乗り換えます。
16:04新島々駅発。
16:33松本駅着。
予約したバスまで少し時間があるのでバスターミナルがある建物のカフェ・ド・クリエで休憩。
17:08バス乗り場へ。すぐにバスがやってきて乗車。
17:20松本バスターミナル発。
20:14中央道日野着。多摩モノレール甲州街道駅まで歩き、そこから帰宅しました。
感想
涸沢には「この景色卑怯だろ!」と言いたくなるようなスポットがあちこちに転がっていました。
紅葉だけなら日本にはもっと派手なところは沢山あるかもしれません。 しかし元々このカールが持つ美しさと組み合わさることで特別な風景を生み出しているのだと思います。 また、平地ではまだまだ紅葉が遠いこの時期に見られるというのもお得感があります。 重い荷物を背負って片道5時間歩くのは楽ではありませんでしたがその価値は十分ありました。
長い行程でしたが登山道は思ったよりも歩きやすかったです。 横尾までは道幅も広いですし、横尾~本谷橋もまだ十分広く雰囲気もそれまでの延長線上といった感じです。 問題の本谷橋~涸沢ですが、足下にある岩と岩の段差が非常に低く組まれているのが印象的でした(先日白馬大池(白馬乗鞍岳)に行った直後だから余計にそう感じるのかもしれません)。 特に難所も無く斜度も極端にキツくなるような場所も無く一定のペースで登っていけます。 人気のスポットだけあってよく手入れされているのだと思います。 何より後半の景色が素晴らしく疲れなど吹っ飛んでしまいました。 ただ、下山の日は人(団体)が多く渋滞でイライラさせられる場面はありました。
一生に一度と言わずまた来たいところですが先のことは分かりません。 穂高岳にも登ってみたいですが、もう少し色々調べてみる必要がありそうです。
登山ルートまとめ
登り
上高地バスターミナル 07:03→(5分)→07:08 河童橋 07:08→(35分)→07:43 明神館 07:48→(45分)→08:33 徳沢 08:39→(46分)→09:25 横尾 09:33→(51分)→10:24 本谷橋 10:28→1(時間23分)→11:51 涸沢テント場
上高地バスターミナル→涸沢テント場 4時間48分
“台風一過! 紅葉を見にテント担いで涸沢へ” への7件の返信