2022年6月4日(土)、大弛峠に行って国師ヶ岳・北奥千丈岳・朝日岳・金峰山に登ってきました。
大弛峠(おおだるみとうげ)は山梨県と長野県の県境にある峠です。標高は2360m。自動車が通行できる峠としては日本で最も高い場所だそうです。国道最高点(2172m)の渋峠(参照:志賀高原 石の湯ロッジでホタル鑑賞。ついでに横手山へ)、車道最高点(2716m)の乗鞍エコーライン(参照:最も楽な3000m、乗鞍岳でリハビリ登山)等と並んで良く紹介されている場所なのでご存じの方も多いのではないでしょうか。
不安定な天気が続き連続して晴れる日が少なかった6月最初の週、土曜日の昼頃に晴れるタイミングが見えたのでちょうどバスの運行が始まった大弛峠へ行くことにしました。
大弛峠へのアクセス
大弛峠は大変山深い場所ですが、近年は栄和交通が毎年6月から11月の土日祝日に塩山駅との間で輸送サービスを提供しています。
「バス」と言いたいところですが正確には「ツアー」という形式になっています。定かな理由は分かりませんが、バスだけでなくタクシー車両なども臨機応変に使用して輸送することからツアーと呼んでいるのかもしれません。実際今回も、往路は途中でバスからタクシー車両に乗り換えました(復路は乗り換え無しでした)。もちろんツアーと言っても塩山駅と大弛峠の間を片道ずつ輸送してくれるだけですから、使い勝手はバスと同等です。
2021年は往路が塩山駅を7:30、8:30、9:40発、復路が大弛峠を14:50、16:00発の運行がありました。片道の運賃は2000円でした。
2022年は往路が塩山駅を7:30、8:45発、復路が15:00、16:15発となっています。片道の運賃は1000円アップの3000円。
詳細は栄和交通のサイトにあるツアー募集要項をご覧ください。
予約制なので事前に電話やWebサイト(今年はまだ準備が出来ていないようです)での予約が必要です。今回私は、前日金曜日の午前中に電話で予約しました。第一便(7:30発)は満席ということだったので、第二便(8:45発)を予約しました。同時に帰りのバスも遅い方(16:15発)を予約しました。
天気

まだ梅雨入りは宣言されていませんが不安定な天気が続くようになりました。しかし長期予報では雨ばかりだとしても直前になると案外晴れたりするものです。天気は周期的に変化しており、次の晴れそうなタイミングは週末。金曜日に天気を確認すると土曜日は朝晩は雲が多そうですが昼頃の天気は良さそうでした。日帰りでどこか良い所は無いかなと考えたときに、大弛峠のことを思い出して予約を入れた次第です。
本日のルート
当日の様子
電車・バス・乗合タクシーで大弛峠へ
2022年6月4日(土)の朝、自宅近所のコンビニで買い物をした後電車に乗って塩山駅へ向かいました。
07:22 塩山駅着。バスの発車時刻は8:45なので大分早く着いてしまいました。
塩山駅には大勢の登山客がいました。大弛峠行きの第一便は7:30発ということなのでそれに乗る人たちもいたことでしょう。また、南口からは山梨交通のバスも出ているのでそれに乗る人たちもいたようです。
トイレは北口にある公衆トイレを利用します。駅構内にトイレはありません。登山客で列が出来ていました。

大弛峠へ向かうツアーの集合場所はこの北口にあります。
時刻表が貼ってありましたが8:30発と書いてあって驚きました。よく見ると令和3年と書いてあるので去年のものが貼りっぱなしだったようです。
バスを待っていると「西沢渓谷へ行くバスはこっちじゃないですよね?」と聞かれたので「多分反対側だと思います」と答えました。そういえば以前西沢渓谷へ行ったときに南口でバスを待った記憶があります。西沢渓谷は水が綺麗なのでまた行きたいです。西沢渓谷から甲武信ヶ岳へ登ったりもできるようですね。
他にも二台のタクシーに乗り込んでどこかへ行く一団もいました(団体なのか乗合なのかは不明)。
8:25 栄和交通の白いバスがやってきました。
予約の確認をして運賃3000円を支払って乗車。キャンセル料を請求されてはたまりませんからしっかり名前をチェックしてもらわねばなりません。
この日の乗客は27名で補助席も使用して満席。1人予約せずに来た人もいましたが、満席と言うことで乗れずに帰って行きました。
何人か8:45着のあずさで来た人がいたので少し遅れて8:48塩山駅を出発。大弛峠までの所要時間は1時間25分の予定です。

9:28 柳平着。ここで9人乗りのジャンボタクシー車両(3台)に乗り換えました。
9:30 柳平発。
車は林道を何度も曲がりながら標高を上げていきます。時々金峰山の五丈岩も見えました。

駐車場が近づくと道路に車の長い列が。駐車場が一杯なためかなり下の方まで路上駐車されていました。

10:01 大弛峠着。
大弛峠→国師ヶ岳
北(長野側)を向いて右手側が国師ヶ岳方面です。
今回の第一の目的は国師ヶ岳に行くことです。金峰山は去年富士見平小屋の方から登ったので、最悪行けなくても諦められます。今日は遅い時間になるほど雲が広がりやすいようなので、先にちゃちゃっと登ることにしました。
10:06 大弛峠発。国師ヶ岳までのコースタイムは60分です。

登山道に入ると左右にテント場があり、すぐに山小屋(大弛小屋)が現れます。

国師ヶ岳へは山小屋の奥を進みます。山小屋の裏には水場もあります。

国師ヶ岳方面への道はかなり良く整備されているとは思うのですが、それでもなかなかの急登です。前国師岳まで標高差約200mを一気に登ります。




10:14 夢の庭園分岐通過。




急階段の連続でなかなかキツい。



傾斜がなだらかになりこの辺りが前国師岳かなと思いましたがもう少し先でした。





10:31 前国師岳(標高2570m)通過。




10:34 前国師岳を過ぎるとすぐに分岐が現れます。左は国師ヶ岳、右は北奥千丈岳(きたおくせんじょうだけ)です。両方行きますがまずは左へ。





10:39 国師ヶ岳着。大弛峠から33分でした。

国師ヶ岳(標高2592m)
国師ヶ岳→北奥千丈岳
北奥千丈岳(標高2601m)
北奥千丈岳→大弛峠
大弛小屋
大弛小屋→金峰山
さて、今日の目的は達成しましたがまだ時間は余っています。帰りの時刻は16:15発なのでまだ4時間30分ほど残っています。そして金峰山までの往復のコースタイムは4時間30分。理論的にはまだ間に合います!
せっかく往復6000円もかけて来たんです。これだけで帰るのはあまりにも勿体ない。金峰山まで行けなくてもいい。行けるところまで行ってみましょう。金峰山からの帰りのコースタイムは2時間なので、14時を過ぎたら引き返すことに決めてスタートしました。
11:42 大弛峠発。




坂を登って2447m地点を過ぎると道はなだらかになります。





12:05 少しだけ下るとケルンの積まれた広い場所に出ました。朝日峠と呼ばれている場所のようです。







12:22 急な坂道を登り切ると見晴らしの良い岩場に出ました。


思わず足を止めて休憩したくなるほどの開放的で素敵な場所です。

帰りは絶対ここで休憩しようと思いました。



12:31 朝日岳はこの辺りかなと思い少し休憩。

行動食のキットカットリトルをつまみます。

12:34発。

でも実際の朝日岳の山頂標識はそのすぐ後にありました。
12:35 朝日岳着。大弛峠から53分でした。

朝日岳の標高は2579m。大弛峠からの標高差は214mです。ただし、登り、下り、登りと続くので累積の標高差はもう少しあるでしょう。

進行方向を見ると金峰山、五丈岩までの道が見えます。大分近づいてきましたがまだまだ距離もアップダウンもありそうです。

そして下を見るとものすごい下り。

12:36 朝日岳発。
慎重にジグザグ左右に刻みながら少しずつ降りていきました。帰りにこれを登るのかと思うとウンザリします。




12:51 下りきるとここにも峠のようなスペースがありました。朝日峠のように名前は付いていないのでしょうか。標高は2460~2470mくらいなので朝日岳から100mほど下ったことになります。


次は鉄山か……嫌だなぁ……と思っていたのですが……

「鉄山」の標識と一緒に上の方へ続く道にはロープが張られており、山頂を見て右側に迂回するようになっていました。やったー! 巻き道です。

なだらかな真っ直ぐな道をズンズン進んでいきますが、これはこれで単調で変化に乏しく疲れもピークに達していて辛い区間となりました。



しかし次第に樹木の高さが低くなり青空が見えてきました。


13:12 ついに森林限界を突破しました。

この辺りは賽ノ河原と呼ばれているようです。

賽ノ河原と呼ぶには綺麗すぎますね。

金峰山の山頂を目指して歩みを進めます。

瑞牆山、そして背後には八ヶ岳が見えます。





13:21 金峰山山頂着。朝日岳から45分、大弛峠から1時間39分でした。頑張った!


五丈岩の方は前回さんざん見たのでいいでしょう。時間もありませんし。

登ってきた方角はこちらです。右手前に見えるのが鉄山で、その左が朝日岳でしょう。さらにその右後ろに見える(雲の陰で黒く見える)のが国師ヶ岳と北奥千丈岳と思われます。向こうから見えたのですから当然こちらからも見えます。

八ヶ岳側に見えるのは大ヤスリ岩と瑞牆山として……

北の方に見えるのは何でしょう。地図によれば裏瑞牆と書かれているあたりでしょうか。

疲れていて岩場の上に長時間いるのも辛いので賽ノ河原で休みましょう。


ふと道の脇に目をやると黄色い花が目にとまりました。

調べてみましたが、おそらくキバナシャクナゲではないでしょうか。前回富士見平小屋から登ったときにピンクのシャクナゲを沢山見かけましたが色々な種類があるのですね。それもこんなハイマツが生えているような場所に咲くなんて。




13:39 賽ノ河原まで戻ってきました。金峰山の朝日岳側で休むならこの辺りが広々として良いですね。

疲れていてあまり食欲は無いのですが、コンビニで買ったパンを一つ。

ゆっくり噛みながら目の前に広がる景色を眺めます。
金峰山の直下には金峰山小屋が見えます。のんびりするならここで泊まるのも良いでしょうね。

金峰山→大弛峠
帰りのコースタイムは2時間。いつまでもボヤボヤしていても帰れないので歩き始めましょう。
13:51 賽ノ河原発。



朝日岳と金峰山の標高差は20mしかないのでどちらからでも下った分はきっちり上ることになります。ただ、金峰山からだと緩い下りが長く続くことになるので速いペースで歩ける気がします。

14:06 鉄山と書かれた標識を通過。


峠っぽいところを越えると朝日岳までは急な登りです。








朝日岳の金峰山側は勾配は酷いですが大きな段差がほとんど無いので自分のペースで少しずつ登っていけます。



金峰山がもうあんなに遠くに。でも行きに見たときよりは心なしか近く感じます。



14:35 朝日岳着。賽ノ河原から44分でした。

ほぼ休まず先へ。





14:43 朝日岳の大弛峠側にある見晴らしの良い場所まで戻ってきました。ここでしばらく休憩。

大分雲が多くなってきました。今日は遅くなるほど天気が悪くなる予報でしたが、各山頂ではしっかり晴れていたので良かったです。

崖かなと思って撮ったのですが、樹木?

14:49 出発。






15:08 朝日峠着。

ここからは大弛峠までの最後の登り。これが緩いのに案外キツい。後は下りだけだろうという期待を見事に打ち砕いてくれます。


これ登ったら後は下りでしょう。

え、まだ登るの?

まだ……?

と、標識のある場所がおおよそのピークです。

少し進んで……

今度こそ最後の下り。







15:32 大弛峠着。朝日岳から約1時間、賽ノ河原から1時間41分でした。金峰山からだと概ねコースタイム通りでしょうか。疲れた!

休まず国師ヶ岳方面へ。

大弛小屋
帰宅
そして無事16時前に駐車場に戻ることが出来ました。
バス停のようなものは見当たらないので、来たときに降りた場所の周辺に皆まばらに座り込んで待っていました。
16:15発ならその少し前に来るのだろうと思いましたが、時間になっても車が来ません。


16:17 猛スピードで滑り込むように車が駐車場に入ってきました。

予約を確認して3000円を支払い乗車。今回は9人と7人に分かれての乗車だったと思います。大分人数が減っていますが、宿泊する人や縦走する人がいるためなのでしょうか。

16:22 大弛峠発。

ただでさえ疲れて弱っているところにぐねぐねと曲がりくねった林道をかっ飛ばす車。急激な加減速に加えて段差もあり左右前後上下とありとあらゆる方向に揺さぶられてあっという間に気持ち悪くなりました。目をつむって頭を低くして耐えるよりありません。
さらに今回は柳平での乗り換えは無し。そのまま通過して塩山駅まで走りました。
17:23 塩山駅着。しばらくぐったりして身動きできませんでした。


何とかホームにたどり着いたのが17:34頃。しかし17:17発の特急あずさがまだ到着していません。上諏訪~下諏訪で発生した人身事故のため30分以上遅れているとのこと。えきねっとから特急券が買えるか確認してみましたが、17:17発は販売時間を過ぎているため買えませんでした。こういう遅延しているあずさの特急券を買う方法はあるのでしょうか。もちろん車内で購入することは出来るのでしょうが、きっと割増料金になってしまいますよね。謎です。自由席に乗ろうと話している登山客もホームにいました。あずさに自由席が無くなったことはまだまだ知らない人もいるようです。まぁ、とにかく早く帰りたいのであればとりあえず乗って車内で払えば確実でしょう。(追記:券売機で座席未指定券を買えばいいのかも?)
私は次の普通電車に乗って帰りました。車内で目を開け続けていることは出来ませんでしたね。

感想
突発的に思いついて大弛峠に行ってみました。
大弛峠はテント泊を始めたときに簡単に行けるテント場として候補に挙がった場所でもありました。しかしテント場が道路のすぐ近くであり面白みに欠けることや頑張れば日帰りでも回り切れてしまう中途半端さ、また、交通手段が土日祝日しかないこと等が相まって結局これまで行かずにいました。
なので今回は頑張って日帰りで国師岳から金峰山までまわってみたわけですが、涼しい顔でコースタイムを余裕で下回れる人で無い限りおすすめは出来ないかなぁと思いました。やはり山頂での滞在時間がゆっくり取れないのが痛いですね。第二便だと特に時間がありません。普段コースタイムを下回る計画は立てないようにしているのですが、今回は例外ということで。
とはいえどちらか一方だけだと何だか勿体ない気がしてしまうのも確かです。
ゆっくりまわるのなら大弛小屋(テント場を含む)や金峰山小屋を利用するのも良いかもしれません。体力があれば瑞牆山荘~甲武信ヶ岳と縦走するのも良いかもしれません。
大弛峠は富士見平小屋よりも高い位置にあるので見晴らしの良い稜線歩きを期待したのですが、思っていた以上に樹林が多く少々期待外れでした。見晴らしの良い稜線を長く歩きたければ是非富士見平小屋の方へも行ってみて欲しいと思いました。まぁ、あちらも砂払ノ頭より下はずっと樹林ですけどね。
さて、いよいよ梅雨ですね。雨の合間を縫って少しでもどこかに行けると良いのですが。
“大弛峠からの国師ヶ岳・北奥千丈岳・朝日岳・金峰山” への1件の返信